Frifot Live at 北とぴあ つつじホール 2007.11.11.

shibuyak20032007-11-13

 '03, '05, '07と3度目の来日を果たした北欧Trad/Folkシーンの最高峰、伝統的でありながら先鋭的な音を奏でるLena Willemark、Ale Moller、Per Gudmudsonの素晴らしいTrio「Frifot」のコンサートに行って参りました。
 今回の来日公演は通算5作目「Flyt」に伴うTourの一環でもあり、結成20周年の記念コンサートでもある。
 場所は京浜東北線沿いの王子駅近くの「北とぴあ」の「つつじホール」で「北とぴあ国際音楽祭」の一環として開催された。王子駅には初めて訪れたが、意外にも私が住んでいる場所から近かった。王子駅周辺にある飛鳥公園は春には桜が満開になり美しい場所らしい。
 今回は唯一の東京方面のコンサートと言うことで、通常コンサートの前に「Meet The Band」があった。より深くSwedenの音楽とFrifotのメンバーを知って貰おうという企画。これにも参加したのだが、予想を遙かに超える手応えで大当たり。1曲演奏後、各メンバーの自己紹介から始まった。Lenaさん、 Aleさんの英語はゆっくりとユーモラスで分かりやすく解説、学術的な? Perさんはモゴモゴしゃべる英語は若干わかりにくかったが、いずれにせよ通訳の人(HaLoさん)が素晴らしく、有意義な約65分、演奏も予想以上にたっぷりと聴くことができたのが嬉しかった。
 伝統的なTradをFrifot的なアレンジで演奏することがあるので、オリジナルの演奏とFrifotの演奏の聞き比べをしたいというような質問があった。1stの"Frifot"を例に紹介。オリジナルといっても数百年の年月を重ねながら常に演奏も変化しているため(つまり生きている音楽と言うことだ)本当のオリジナルの演奏というのは再現難しいのではないかなぁと思った。内容もそんな感じの答えだったような気がする。Aleさんなんか特殊仕様Swedishブズーキ(マンドーラ)だしね。しかし、突っ込みどころ満載のAleさんは、どこの近所にもいる、気のいいおっちゃん、ってな感じ。でも彼は自分でCity Boyだったと言っていた。本当かなぁ?(^^; 朝刊取りに起きたばかりのような格好(意味不明)で出てきて、しゃがんだらシャツだらしなく出ていたし。(笑) (ちなみに本編のコンサートではそれなりに着替えて配慮していたことを名誉のためにも書いておこう。)Aleさんのお父さんはデンマーク出身、お母さんはノルウェイオスロ出身だそうだ。ギリシャのミュージシャンに出会ったことで大きく彼の音楽観が変化したというのが興味深かった。ギリシャ人にお前の国の音楽はどういうものだとの問い合わせに答えられず追求した結果の賜だったようなのである。面白いねぇ。Swedenの伝統音楽はフィドルが中心だが頑固にブズーキを演奏し続けたというのがAleさんらしいね。そのブズーキ、Swedenの音楽に合うように独自に開発したものらしい。
 ブルーノートについても質問があったが、アラブやペルシャからの影響からであろうと語られていた。楽器演奏しないのでちょっと分かり辛かったけれど、音と音をつなぐような音であり、意識して聴いたら興味深かった。いずれにせよSwedenのPolskaは3拍子が基本でそれを元に展開していくリズムであり、Ds.の代わりに足でリズムをとっていくというもので、客と一緒に確認できたのが良かったね。
 コーラス曲の例では宗教的な音楽の"Abbar Fader"を例に紹介。やり過ぎず、しかもどこに音があったら気持ちが良いか常に考えて作曲しているそうだ。
 SwedenのTrad/Folkは元々気のいい仲間達との間や祭り時に行う演奏であり、ステージに上がって観衆の前で演奏するというのは'70s以降の事で、これによりまた随分と音楽も変化しているとのこと。まぁ、納得の内容だなぁ。


 本編セットリストは終演後会場に張られていたものを参考にした。最新作「Flyt」から殆ど演奏。<第1部>(約37分)
1.Vildfagel / Harjedarlingarna
2.Kappa Gra / Gummistoveln
3.Gammelspaken
4.各メンバーによるソロ
5.Tyskan
6.Sommervalsen
7.Slit - Och Slangpolska<第2部>(約58分)
8.Host Eller Var / Hobergsgubben
9.Polska pa Kohorn / Jag Lyfter Mina Hander / Ganglat Efter Ewert Ahs
10.Min Sol / Polska Efter Ollas Per
11.PerとLenaによるデュオ。
12.Salgflojtsballing
13.Mikkel Per / Kus Erik

14.Aftonkoral / Enhorningen / 竹田の子守歌
15.Svedins Polska
16.Hjortingen

 アンコールは3度も行う程の大盛況。コンサートの内容は既に保証済なため、素晴らしいとしか言いようがないし。(Peter Hammillのレポートと書くこと同じだなぁ(^^; )会場が大きかったため、満員御礼とは言えなかったけれど(欧州だったらソールド・アウト必至だろう)、集まった人たちは皆熱心な人たちで盛り上がった。
 「"Sommervalsen" : 夏のワルツ」はなんと日本語歌付きで。LenaのVo.素晴らしかったねぇ。「竹田の子守歌」は前回公演でも演奏。
 良いゴシップ、日本語でいうと「噂」に相当するもの、"Mikkel Per / Kus Erik"の演奏の前、Lenaさん、前回の公演の時も日本語でなんて言うの?って問うていたけれど覚えてないのね。(当たり前か)
 相変わらずのAleさんのガニ股ドタドタは健在、牛角笛、ハーモニカ吹きながら開放弦でブズーキ弾くなど面白いオヤジ全快モード。流石だね。(^^;

 サイン会。事前に練習しておいた?片言のSweden語が通じて嬉しくなってしまう。反面、予想通りSweden語で返されて困惑してしまったが。(^^;

 「Flyt」はオリジナル盤はデジパック仕様、国内盤は普通のプラケース仕様。国内盤は解説付きながらインナーの充実度、緑の色合いはオリジナル盤の方が圧倒的によいなぁ。これはSさんがサイン用に持参した物を見比べた結果分かったこと。(^^; なお、「Fryt」の文字は国内盤の方が大きく書かれている。

 その他、コンサートには「Meet The Band」からKensoの清水氏、小口氏もいらっしゃっていた。一応小口さんにLenaのソロをハイコレ攻撃(死語?)しておきました。(爆)